ビレッジプレス
1985-2021

 
 
 

発行書籍

いとうたかお(文)・本間希代子(絵)「原っぱの中の原っぱ」

 
ISBN978-4-89492-139-9 C0071
定価1,000円+税
 
友人のやっている、古い長屋を改造したフリースペース的古本カフェ『ソボクロ』は、防災公園造成区域の中にあったため、立ち退くことになった。周りの家々が徐々になくなり、原っぱの中にその長屋だけが取り残されていった。戦前から建っていた長屋の裏庭には大きな榎があり、自分が出て行ったあとその樹が伐採されることに友人は心を痛めていた。

2007年6月、『ソボクロ』最後のイベントに参加することになったとき、『原っぱ』の話になり、随分前に書いたこの物語を思い出した。原稿を友人に見せると、絵を描いてもらって紙芝居をやろうということになった。そのとき、本間希代子さんが六枚の絵を描いてくれて、谷陽子さんが朗読をしてくれた。

その後、本間さんが手製の絵本を作ろうと思っているという話を聞き、それならいっそのこと形にしようと提案した。

やりたいことはやれるときにやっておこう、と最近はとみに思うようになっている。

いつ書いたのかもはっきりとは憶えていない、なんの意図もなく書かれていた物語が絵本になった。
(いとうたかお「あとがき」より)