ビレッジプレス
1985-2021

 
 
 

発行書籍

中村修「乙訓の原像」

 
ISBN4-89492-052-2
定価2,500円+税
 
このたびの著作においては、その居住される乙訓郡の起源・古代の考古学的・歴史地理学的考察は綿密・詳細を極め、史学専攻者のみでなく、地理学や考古学専攻者でも、裨益されることが多いであろう。──横田健一(序文より)

<目次>
写真・高橋信夫/序・横田健一

第一章 乙訓(弟国)と兄国
「エクニ」はどこか/《弟の国》でない解釈/「オトクニ」地名を遡る/乙訓地域の弥生遺跡/四世紀の乙訓地域/五世紀の乙訓地域/地域支配権移動の原因/恵解山古墳は派遣軍のリーダー/被葬者はワニまたは息長一族

第二章 乙訓(弟国)の首長系譜
地域首長の平均在位年数/首長墓のグループ分け/中期古墳の選地法/乙訓の古墳の輪 62 物集女車塚被葬者/三島地域の首長墓系列/北河内の茨田氏/稲荷塚はカモ族

第三章 乙訓(弟国)と葛野
多気町の兄国・弟国/従来の兄国諸説の共通の特徴/コオリの起源/黛説の誤りの克服過程 89 愛宕郡は葛野ではない/葛野の範囲は動いている/葛野県は本当に存在したのか/カモのアガタ主/葛野のアガタ主

第四章 乙訓(弟国)のカモ族
『風土記』のカモ伝承/『御鎮座記』のカモ伝承/向日山の麓とはどこか/二系統のカモ族/タケツヌミの結婚/主殿県主部

第五章 乙訓(弟国)の向日神
向日神社の位置/向日神か向神か/「ヒ」型神名/御年神/白日神/ムカヒの神

第六章 乙訓(弟国)の火雷神
火雷神の性格/乙訓坐火雷神社の比定地論争/承久の乱/古代の乙訓社は下社/乙訓社と火雷社は別社/二つの火雷神/カモ伝承の改ざん

第七章 乙訓の秦氏
秦氏の里/幻の河陽姫伝説/乙訓の古代寺院/聖なる正三角形/弟国の宮

第八章 オトク(丘陵)語源説
「オトク」「オタキ」「エタキ」「アタゴ」/万葉仮名〈徳(トコ)〉/漢字〈徳〉の史料状況/「トコ」の根拠/朝鮮半島系遺跡/吏読/オトク(丘陵)語源説/子音終止仮名の提案

第九章 ロトク(山)語源説
「オトクニ」と「ヲトクニ」/川が流れ注ぎ込んでいる国/鴨川は巨椋池に流れ込んでいない/ロトク(山)語源説/二音節万葉仮名の発生過程/主格助詞「い」/伊豆の雄徳山

あとがき
・カバー絵・写真(高橋信夫)/装幀(松田嘉子)